アカペラの機会均等を目指して

全日本アカペラ連盟代表理事 藤井隆太インタビュー

 当サイトではこれまで、ボイパの環境を切り開いてきたプレイヤーに注目し、その考え方をインタビューしてきた。かれらの力強い言葉は、ボイパが持つ大きな魅力をふたたび捉え直す機会を、私たちに与えてくれた。

 今回は視点を変え、第一線のプレイヤーではなく、その環境を整えるために尽力する人物を取材した。一般社団法人全日本アカペラ連盟(以下「AJAA」)代表理事の藤井隆太である。

 

 日本におけるボイパの概念はやや複雑だ。アカペラ、ヒューマンビートボックス、ものまね(お笑い)などの文化においてそれぞれ発展を遂げ、しかし一般的には同じ「ボイパ」という言葉で語られている。それぞれの文化について深く知り、考察することは、ボイパを考える上で欠かすことができない作業だ。

 

 AJAAは、国内にいくつか存在する、アカペラの環境づくりを目的とした団体のひとつである。主に大学サークルなどが主催・出演するアカペライベントの運営補助を行っており、たとえば国内最大級のコンテスト「Acappella Spirits!」(アカスピ)「Japan A cappella Movement」(JAM)、全国200大学合同アカペラサークルライブの「50Fes」(ゴーマルフェス)などがある。

 名実ともに、現在のアマチュアアカペラ界を支える団体としてその地位を確立してきた。

 

 ここで、AJAAの代表であり発起人である藤井について簡単に紹介しよう。藤井は駒澤大学在学時の2009年に、アカペラサークル「鳴声刺心」(めいせいししん)の1期代表に就任。同年に「だれでも気軽に参加できる」をテーマとしたアカペラライブ「Take it easy!」を発足した。2011年には同サークルから「ブーケ」「ラディッシュ」の2つのグループを、全国ハモネプリーグに輩出(自身もブーケのメンバーとして出演)。2012年に「アカスピ」を立ち上げ、全国の大学生が目標とするイベントに育て上げた。そして2018年にAJAAを生み出すに至る。

 

 当時「新参」だったサークルから、いかにしてハモネプに出場できるグループを生み出し、日本最大規模のイベントを立ち上げるに至ったのか。そして2020年現在のコロナ禍において、どのような取り組みを行なっているのか。

 藤井の歩んできた道のりと展望を明らかにすることを通して、アカペラ文化を考えるひとつのきっかけにしたいと思う。