1.エンタメ精神でボイパの魅力伝える

ボイスパーカッショニスト バズ インタビュー

今年10月に行われたザビエルズのライブにサポートとして出演した(左から二番目がバズ)
今年10月に行われたザビエルズのライブにサポートとして出演した(左から二番目がバズ)

■笑顔とわかりやすさを重視

 

――バズさんは多方面でご活躍されていますが、特に印象的なのはYouTubeやSNSでの精力的な動画発信です。最近はボイスパーカッションの演奏だけでなく、クスッと笑えるネタなど、エンターテインメントの要素を取り入れた映像を投稿していますね。

 

バズ:YouTube上には、ボイスパーカッションの演奏動画がたくさんありますが、総じて、ストイックな雰囲気が漂っています。例えば、顔を出さずに音を鳴らし続ける映像です。ぼくはそういった動画が大好きでずっと見ていられるのですが、やはりそれは玄人向けです。

 ぼくが発信する動画では、表情は明るく、できるだけ笑顔で、内容もわかりやすさを重視しています。アカペラやボイスパーカッションを知らない人でも興味を持ってもらいたい、という目的があるからです。

 人を楽しませたくて仕方がない性分なのかもしれません。大学生になって最初に投稿したのが、ファミリーマートの入店音をアカペラ演奏する作品でした。多くの人にとって馴染み深いメロディなので、聴く人に喜んでもらえるんじゃないかと思ったのです。

 

バズが2020年4月に初めて投稿した動画作品。表示される楽譜の色をファミリーマートのイメージカラーにするなど親しみやすい映像となっている

 

――2022年5月に公開した「【最難関】ミックスナッツ Official髭男dism 口でドラム叩いてみた」は、TwitterとYouTube合わせて6万回以上の再生数です。複雑な演奏内容を楽譜で表示させることで、わかりやすさにもこだわっているのがよく分かります。

 

バズ:体全体を動かして演奏するドラムと違い、ボイスパーカッションは、一見して何をしているのかわかりにくいというパフォーマンス上の弱点があります。「今、何を鳴らしているのか」を伝えるにはどうしたらいいのかと考える中で、こうした表現方法を思いつきました。

 

演奏内容が視覚的に理解でき、高度なテクニックが一層、際立っている


■ザビエルズから学んだエンタメのいろは

 

――バズさんのYouTubeチャンネルをさかのぼると、「どうしてこんなことを思いつくのか」という面白い発想の映像がたくさん出てきます。例えば、「東進ハイスクールの講師が全員アカペラーならこうなる」という作品はゲラゲラ笑いました。

 

バズ:人を楽しませたいという思いが湧き上がってくるのは、プロアカペラグループthe XAVYELLS(ザビエルズ)での活動の影響が大きいです。

 

 大学1年生だった2020年の夏に、さまざまなご縁があって、ザビエルズの正式なボイスパーカッションのサポートメンバーに選んでいただきました。高校生の頃から憧れていたグループだったのでうれしく、活動を始めてからは本当に多くの学びを得ています。

 ザビエルズは、「アカペラをしているグループ」というよりも「アカペラを手段にエンターテインメントをしているグループ」といった形容が正確だと思います。お客様からどのように見られているのかを常に念頭に置き、パフォーマンスしています。

 ボイスパーカッションのパートも、リズムを奏でるだけでは仕事をしたとは言えません。ステージ上では一瞬も気を抜かず、お客様に楽しんでいただくための振る舞いをしなければなりません。例えば、バラード曲の冒頭などボイスパーカッションの演奏がない場面でも、ぼんやり突っ立っているようでは失格です。背筋を伸ばし、リードボーカルの後ろ姿をしっかりと見つめることで、お客様に対して「今はリードボーカルに注目するシーンですよ」と伝える役割を果たせます。簡単な動作かもしれませんが、実践できている人はそう多くはないはずです。

 

 また、ザビエルズは演奏と同じくらいMCにも力を入れているのも特徴です。プロのステージはとても緊張感がありますが、このグループでの経験を通して、やっぱりぼくは人を楽しませるのが一番好きなんだということが分かりました。その思いをアウトプットした成果が、今年8月に実施したワンマンライブでした。

 

8月20日に名古屋市で開催したワンマンライブの様子

 

バズ:ワンマンライブでは、12曲を作詞作曲し、ギターを持って歌をうたい、もちろんMCにもしっかりと力を入れてステージを作り上げました。仲間の力を借りながらも、無事に成功させることができたのは、パフォーマーとして大きな自信につながりました。