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「アカペラで福井を元気に!」福井初の大規模アカペライベントが4月23日(日)に開催

発起人のミュージシャン、大西泰敬さんインタビュー


 「福井アカペラシティ2023」が4月23日(日)、JR福井駅西口の屋根付き広場「ハピテラス」(福井市中央1-2-1)で行われます。時間は正午から午後4時まで。観覧無料。

 

 福井県で初となる大規模アカペライベントで、一般応募のアカペラグループ15組(予定)に加え、ゲストに新世代アカペラグループのNagie Lane(ナギーレーン)、ボイスパーカッショニストのバズさんが登場します。

 

 当サイトではこのほど、同企画の発起人で代表を務めるミュージシャンの大西泰敬さん@yasusax1008)にインタビューし、アカペライベントを開催する理由や目標について詳しく聞きました。


ウインドシンセサイザー奏者として活躍する大西泰敬さん
ウインドシンセサイザー奏者として活躍する大西泰敬さん

■「幸福度日本一」…でも文化・娯楽分野は低水準

 

――大西さんは、福井アカペラシティ2023を通して実現したいこととして「福井県の芸術・文化・娯楽分野の活性化」「福井駅周辺のにぎわい創出」を掲げています。その意図を教えてください。

 

大西泰敬(以下、大西):福井県は、全国トップクラスの住みやすいまちとして知られています。しかし、エンターテインメントとは少し縁遠いまちでもあります。

 

 その傾向はデータを見ても明らかです。例えば、80の指標で県民の幸福度を算出する「全47都道府県幸福度ランキング2022年版」(一般財団法人日本総合研究所発表)では、福井県は総合1位となっています。指標を細かく見ていくと、雇用環境などを評価する「仕事分野」と学力の高さなどを示す「教育分野」がいずれも1位である一方で、「文化分野」は41位、「余暇・娯楽分野」は35位と低水準です。福井県民の真面目で実直な気質が、裏目に出ている結果のように思います。

 

画像引用:福井県ホームページ
画像引用:福井県ホームページ

 

大西:福井駅前を歩いてみても、どこか寂しい雰囲気があります。特に、若者の姿は週末でもほとんど見かけません。若い世代が訪れたくなるような魅力あるスポットやイベントが少ないことが原因の一つと考えられます。

 

 こうした状況から、福井県はもっとエンターテインメントに力を入れていく必要性があると感じていました。楽しいイベントを通じて若者に文化・芸術に対する関心を持ってもらい、さらに、イベントに参加したついでに地元の飲食店や観光スポットにも訪れてもらう導線づくりをしたいと考えました。

 

 福井アカペラシティは、こうした背景で企画しました。開催準備は、企業様や地元のまちづくりに携わる方、大学の先生ら「地域を盛り上げたい」という志を抱く仲間とともに着実に進めています。

 

■「ハモネプ」と出会い、音楽好きに

大西さんを魅了した「ハモネプ」のCDの数々
大西さんを魅了した「ハモネプ」のCDの数々

――文化振興や地域活性化を目指すイベントを企画するにあたって、アカペラをテーマに据えたのはなぜでしょうか。

 

大西:アカペラには、人を変える力があると思ったからです。実はぼく自身、音楽が好きになったきっかけはアカペラでした。

 

 ミュージシャンとして活動する今では考えられませんが、小中学生の頃は、音楽に苦手意識がありました。人前で歌うのが嫌いで、音楽の授業がとにかく苦痛だったのを覚えています。そんなぼくを変えてくれたのが「ハモネプ」でした関連記事=ハモネプの物語

 

 その頃のハモネプはフジテレビ系のバラエティ番組「力の限りゴーゴゴー‼︎」の1コーナーだった時代で、毎週、アカペラに青春を捧げる高校生や大学生が登場していました。その姿に心の底から憧れ、中学生ながら友人とアカペラグループを結成し、毎週日曜日に福井駅前の路上で練習をしていました。荒削りな演奏でしたが、立ち止まって聴いてくれる方もいて、人前で歌う楽しさを知りました。

 

 そのうち、社会人のアカペラ奏者の方に声をかけていただき福井県内のライブにも出演しました。ハモネプで活躍したブラスターズというグループも福井が本拠地で、ぼくたちの練習を見てもらったのも忘れられない思い出です。

 

――ちなみに、一番好きだったハモネプのグループは?

 

大西:地元のブラスターズは殿堂入りです。ブラスターズを除くと、チン☆パラが大好きでした。第2回大会で演奏していた「WHITE BREATH」は、一生懸命に真似して歌っていましたよ(笑)。

 

 音楽嫌いだったぼくがアカペラと出会ったおかげで変わったように、福井駅前でアカペラを見てエンタメの魅力に目覚める若者がいるといいなと思います。さらにその中から、将来の福井の音楽文化を盛り上げていく人物が現れるとすれば、そんなに素晴らしいことはありません。

 

■地元の奏者にも刺激を感じてほしい

インタビューに応じる大西さん(取材はオンラインで実施)
インタビューに応じる大西さん(取材はオンラインで実施)

 

――福井アカペラシティの構想はいつ頃から練っていたのですか。

 

大西:新型コロナウイルスの感染拡大が始まった2020年にはすでにアクションを起こしていました。新型コロナはぼくたちミュージシャンの仕事にも影響を及ぼしていましたが、それよりも、高校生や大学生の音楽活動が止まってしまった状況に心を痛めていました。

 

 そこで、北陸3県のアカペラグループを招くコンテストを企画しました。21年2月の実施に向けて会場も抑えていましたが、2度目の緊急事態宣言が発令されるなど状況は好転せず中止となったのです。以来、ずっとタイミングを見計っており、このたび形を変えてようやく実施できることとなりました。

 

――本番まで残り1カ月半となりましたが、手応えはいかがでしょう。

 

大西:開催を発表した直後から、大きな反響をいただきました。3月3日に開始した出演グループ募集には全国からエントリーがありますし、「力になりたい」と言ってくださるアカペラ関係の方も多く、“アカペラの底力”を肌で感じています。

 

 今回のイベントを通して、福井県のアカペラをもっと盛り上げたいという気持ちもありました。県内にはいくつかの大学サークルと社会人サークルがありますが、他県に比べて部員数は多くはなく、大規模なアカペラライブもこれまでありませんでした。

 

 そんな状況ですから、福井アカペラシティが地元のアカペラ奏者にとっても、良い刺激となるとうれしいです。特に、ゲストのパフォーマンスはぜひ見てほしいですね。Nagie Laneは若い世代が憧れるグループで、福井アカペラシティのコンセプトとも合致しています。何より、リーダーのbaratti(バラッチ)さんは福井県出身です。こんなにかっこいいミュージシャンが福井から巣立っているんだということを、地元の人に紹介したい思いがあります。

 

新曲「サクラループ」がヒット中のNagie Lane

 

大西:またバズさん(=関連記事は、大学生ながらプロのアカペラグループのサポートメンバーとして活躍したり、ハモネプにも出演したりと、まさに新進気鋭という表現がぴったりのボイスパーカッショニストです。バズさんの情熱的なエネルギーを間近に感じてもらい、県内での新たな動きにもつながるといいですね。

 

高い技術で聴く人を魅了するバズさん

 

――最後に、読者へのメッセージをお願いします。

 

大西:駅前の観覧無料イベントなので、とにかくまずは気軽に見に来てほしいです。そして食事や観光名所なども一緒に楽しんで、福井県の魅力を多くの人に知っていただきたい。

 

 来年春には北陸新幹線が福井県内へ延伸し、関東圏からも訪れやすくなります。長く継続し、福井の春の風物詩として全国から人が集うようなイベントに育てていきたいです。

 

(2023年3月12日インタビュー)


■「福井アカペラシティ2023」イベント概要

日時:2023年4月23日(日)12:00〜16:00

場所:JR福井駅西口の屋根付き広場「ハピテラス」(福井市中央1-2-1)

観覧:無料(入退場自由)

出演:アカペラグループ15組(予定)

ゲスト:Nagie Lane、バズ

最新情報はイベントツイッター(@fukui_acp)でご確認ください。